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それはそれで、なんか……。 ちょっと不機嫌になると、東吾は私の耳に口を寄せて囁いた。 「処女だったし?」 小声とは言え、ここで言うかー! 東吾の顔を押して離した、東吾は笑うだけだ。 「で? で?」 店員のおばさまがニヤニヤ笑いながらやって来た、注文していない焼き鳥盛り合わせがテーブルに置かれる。 「ま、近くで見ると、ますますいい男ねえ」 「ありがとうございます」 東吾、言われ慣れてると見た。 「ちゃんと仲直りしたの?」 「しましたよ、ね? 亜弥」 とか言って、私の左手を掴んでその指先にキスをする、きゃあ人前でやめて! 「まあ、お熱いこと」 おばさまは丸盆で顔を仰ぎながら立ち去った。 「あら、指輪」 美乃利に見つかった。そう、薬指に東吾がくれた婚約指輪がある、昨日、買ったばかりだ、恥ずかしいよお。 「兄ちゃん達は付き合って、まだ日は浅いのかい?」 酔って真っ赤な顔をしたおじさまが来た。 「どうでしょう? 知り合ったのは子供の頃で、その頃から僕は彼女が好きでしたけど、つい先日久々に出逢えて。まだひと月くらいかな?」 東吾は真面目に答える。 「そうかい、そうかい。でなきゃ堂々と「愛してる」とは言えねえよなあ」 「なんで聞こえたんですか?」 「……美乃利が……」     
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