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「亜弥、可愛かったんだよなあ、今も可愛いけどさあ。あの男の子もさあ、絶対亜弥が好きだったんだ、亜弥と遊んでる俺を見て、すんげー目で睨んでたからあ」
ん? 誰の事? 滑り台の男の子?
「そん時、俺、絶対亜弥は渡さないって思った。どんな奴にも負けない、いい男になって亜弥に選んでもらうんだって誓った、俺が亜弥の一番になるって決めたんだ」
「東吾……」
とっくに選んでたのに……そんな事思ってたんだ……。
「引っ越しして逢えなくなったけど、いつか必ず迎えに行くって決めてた。もしとっくに誰かの物になってても、頑張った俺を見てもらいたかった。だからどんなことでも手を抜かないで頑張った、亜弥に褒めてもらいたかった」
「……うん……頑張ったね」
健次郎くんの言葉が重なった、優秀で非の打ち所がないとか、ハーバード大を首席で卒業、とか……そういうのは、努力の賜物だったんだ……。
「うん、俺、頑張った。なのにごめんな、健次郎が」
「東吾、それはいいから」
慌てて止めた、酔った勢いでこんなところで何を言い出すか?
「守ってやれなくてごめん、亜弥は俺を守ってくれるって言ったのに、俺が守ってやれなくてごめん」
「大丈夫だよ、東吾は守ってくれたよ」
思わず髪を撫でていた、東吾は目の前でとろんとした笑顔を見せる。
「亜弥、愛してる」
んもう、いいよ、その笑顔でその言葉は心臓に悪いから。
「もうどこにも行くな、俺の隣にいてくれ」
「うん、ちゃんといるから……」
言った瞬間キスで口を塞がれる、今度は抵抗しなかった、東吾が離れるまで待った。
周りが囃し立てるけど、もうどうでもよかった。
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