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外国人の声がした。駅前とは言え小さなホテルだ、節約観光客が朝も早くから観光かななどと思って気にもしないでアレンジメントに近付こうとした時。
「へーい、ぷり、がーる!」
突然視界に白い塊が見えた、それは中東の男性が身につける頭巾、クフィーヤをした男性で、何故だか私は抱き締められた。
「え!?」
「ゆーあー、そう、ぷりてぃがーる! はぶゆー、ぼーいふれんど? はう、あばうと、あーい!」
いや、いや、待って! 私の英語力、中学生レベルだから!
「あ、あの、ジャスト、モーメント、プリーズ……」
私は男性の体を押しながら言う、特有のワンピースのようなガラベイヤでは、何処に体があるのか判らないな……。
「申し訳ありません」
脇から日本語がした、よかった、日本人がいた!
「よかったら一緒に国に帰ろう、第四夫人として迎えたいと申しております」
キリリとした真面目そうなスーツ姿の男性は、当たり前のように言った。
「第四夫人!?」
「こちらはナサーハ王国の国王です。ナサーハはペルシャ湾に面した小さな国ですが、石油のお蔭で豊かな暮らしをしております。王の十三番目の王子が今日本に留学しておりますので、その様子を見に来日しておりまして……」
クラクラしている間にも、日本人男性は冷静に自己紹介を続け、アラビアン男性は私にハグを強行し……!
「あの!」
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