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 鉄拳を放ったのは吉沢だった。先ほどまで華奢で可憐だったはずの吉沢の顔と肉体が世紀末の覇者の様に筋骨隆々の8頭身肉体になっている。 「何者だテメェ!?」  ふらつきながら立ち上がる犯人。拳をまともに受けダメージが残っているのか、立つのがやっとのように見える。 「洋介さんを傷つけるのは許しません……」 「なめるなぁ!!!」  犯人がナイフを握り締めて吉沢に勢いよく飛び掛った。正面から攻撃すると思わせてナイフが吉沢の背後に周る犯人。 「フェイントだ!」 「吉沢さん危ない!!!」  マスターと洋介が叫んだが吉沢は微動だにしない。  そしてナイフが割れた臀部に刺さる。致命傷だ。と思いきや鋼のように鍛えられた大殿筋の前では犯人のナイフは玩具でしかない。  表皮に浅く擦り傷を作るだけで内臓どころか筋肉に達することなく悲しい金属音を響かせて折れてしまった。  次の瞬間、吉沢の拳が犯人の顔面にめり込む。  犯人はあまりのダメージに気を失ってその場で崩れた。
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