02 歌うもの

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

02 歌うもの

「カテキンを飲もう♪カテキンを作ろう♪」 撫子がご機嫌に歌う。 「なんの歌を歌っているんだ?」 二代目が尋ねる。 「カテキンの歌」 撫子が答える。 「カテキン……?」 首を傾げる二代目。 すると二色がいう。 「知らないの?魔王のくせに?」 二色の顔がどこか嬉しそうだ。 「知らない」 すると撫子が答える。 「カテキンというのは、ポリフェノールの仲間のひとつ。 お茶などの含まれる渋い成分なんだ。 紫外線からお肌を護るのもカテキンなんだよ」 「ふーん」 「興味ない感じ?」 「俺は魔王だからな。 紫外線程度ではお肌は荒れない」 二色がなんとも言えない表情で二代目を見る。 「なんだ?」 「ずるい」 二色がそういうと撫子もいう。 「ずるい」 「え?なにがだ?」 「ずるい」 「ずるくない」 二代目がそういうとふたりは歌い出す。 「カテキンを飲もう♪カテキンを作ろう♪」 「おい待て……」 そして、二代目は通りすがりのおねこを見つけて捕まえる。 「にゃ?」 「さぁ、おねこも歌え」 「にゃにゃ?」 「魔王は無敵!魔王は無敵!飛べ―飛べ飛べ魔王!」 静かになる3人。 「カテキンを飲もう♪カテキンを作ろう♪」 撫子と二色が歌う。 おねこもリズムに合わせて身体を揺らす。 「あ、おねこが裏切った」 二代目は少しだけ泣きたくなった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!