プロローグ

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 狭いトイレの個室で、俺は自分より一回りは大きい身体の膝の上に座らされていた。  便器の蓋の上に座った彼は、大きな骨張った左手で俺の膝の裏を抱えて、左右に開かせようとしてくる。 「……っ」  ズボンもパンツも脱がされていて、羞恥心のあまりに足に力を入れて少し抵抗するも、力の差であっさりと開かれてしまう。  彼は俺の肩越しに丸見えになった俺のそこを覗き込みながら、左手で俺の膝を抱えたまま、右手を俺の秘部へと伸ばした。 「ちょっ……だめ……」  口で抵抗するのも空しく、彼の右手の中指はいとも簡単に俺のそこに触れた。 「うわ、ほんとにびしょびしょ……」  俺の耳元で俺に聞かせるように言うもんだから、羞恥心で鳥肌が立った。  今まで一度しか人に触られたことのないそんな場所を、彼の指がぬるぬると優しく触れてくる。 「Ωって、ほんとに男でも濡れるんだ……」  彼はわざとぬちぬちと音を立てて執拗にそこに触れる。  自分でも信じられないことに、今は発情期でもないのに、発情期に一人でしてるときよりもずっと濡れている。自分で触るのと人に触られるのとでは、感度がまるで違うのだろうか。  なんでこんなことになっているのか、わけが分からなかった。  今すぐにでも抵抗してやめさせて、元いた場所に戻らなければと思うのに、こんなに快感を覚えたのは生まれて初めてで、俺は彼に体重を預けたまま力が沸いてこない。 ……男に身体に触れられるのは二度とごめんだって、強く思っていたはずなのに――。
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