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「ああ、それでわざわざこちらの方に来て下さったんですか! どうもありがとうございます。父に代わりお礼を申し上げます」
多島くんと由希乃はぺこりと頭をさげた。
「私も、父の店が大好きでした。後を受け継ぐにあたり、出来るだけ雰囲気を再現しよう、と努力してみましたが……いかがですか? 面影はございますでしょうか、お嬢様」
急に話を振られた由希乃はあたふたしてしまった。
「え? あ? お、おお、お嬢様? ああ、あの……えと……」
「由希乃ちゃんがんばれ」
「やだもう、変なこと言わないで。……えっと……す、すごいそのままの雰囲気で……場所も大きさも違うのに……なんていうか同じ遺伝子っていうか、すごい懐かしくて……嬉しかった、です。はい」
「そうですか、それは良かったです。父のお客様にそう言って頂けるのが、一番の喜びです。味の方は……まだまだ、だと思いますが」
マスターはクールな表情を崩して、くすくすと笑った。
「あ、その……ごめんなさい……まだ子供だったから味とかよく……っていうか、多分私コーヒー飲んでないかも、です。クリームソーダばっかだったかも……」
「それでいつもクリームソーダ飲んでるのか~」
と多島くん。うんうん、と納得した様子だ。
「いや、だって、普通のジュースとクリームソーダがあったら、子供はクリームソーダたのむのふつーじゃん」
「それもそーだ」
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