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「友ヶ島に行こう。11月11日土曜日な。以上今決定!」 アルバイト先のサトウさんの一言で、私の週末の予定が決まった。 サトウさんはよくいえばユニーク、変人。そんないいものではなく、 ただの偏屈。 しかし、偏屈男が何で私に「友ヶ島に行こう」って何で? 「自分も、大学卒業して就職やし。友ヶ島に行こう。」 私のために記念遠足ですか?何か気持ち悪いなぁ。 「友ヶ島に飯食うところもないんで、弁当頼むで。俺と俺のツレ と自分の分で3人前な。 俺は卵焼き、ツレは鶏カラがいいってさ。 卵焼きは絶対に塩やで。砂糖入りは絶対アカン。」 賄い係を命じられるし、登場人物が増えてますやん。 というオチがつき、呆れているうちに、11月11日土曜日。 偏屈男とその友達のため、塩入り卵焼き、鶏のカラアゲ、その他 諸々を朝からせっせと準備。 集合時間の3分前に南海本線難波駅の改札口に到着。 「遅い!3分前ってどういうことや。5分前やろ。」 偏屈男は時間にはすっごく厳しい。 お弁当を用意したんやし、2分くらいええやん。 偏屈男のとなりには、偏屈男2号らしき人がいた。 「おはようございます。初めまして。サトウさんの高校時代からの 友人のスズキです。今日はわざわざお弁当まで用意してくださって ありがとうございます。」 偏屈の「へ」の字もない、さわやかさんではないですか。 「ほらほら、はよ電車乗るで。」 さわやかムードは偏屈男の声にかき消され、私たちは、急いで改札 を通り抜け、和歌山市行きの電車に乗った。
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