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「さぁ、今夜はどのシャツを借りようかなぁ」
チェストの引き出しをあけて、一番上のシャツを手に取る私に雅也は笑いながら言った。
「そろそろ自分の部屋着をここへ置いたら?」
「え・・?」
「オーバーナイトケースに入りきらないものはここに置いておけばいいんだよ」
一緒に暮らすまでの間はね・・
そう言いながら、声を詰まらせる私の手から雅也はシャツを取り上げた。
そして耳元で囁く。
「着なくてもいいでしょ?今からたっぷり愛し合うんだから・・」
涙を溢れさせながら笑う私を、雅也の細い胸が包む。
包まれたまま足をもつれさせながらベッドに横たわる時、
傍らに置いてあったバッグが床に落ちた。
その中から見覚えのない小箱がこぼれ落ちたのに気づいたのは、
夜が明け眩しい陽射しが部屋に差し込んできてからだった。
開けた箱の中からも、眩しい小さな光が放たれた。
その光は、雅也の手から私の左手の薬指に・・はめられた。
end
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