3-2

22/22
前へ
/32ページ
次へ
ゴン、と私の机の脚に蹴りを入れる相良くん。 私は、ぶっ、と笑った後で「ごめんて」と謝る。   旧音楽室の奥にかさばっていた机や椅子をふたり分だけ下ろして、まるでクラスメイトの横の席みたいに隣同士で座る私たち。 自分と相良くんのピアノ練習、そしてテスト勉強。 それを、自分たちふたりだけの隠し部屋みたいなこの部屋でできる贅沢を、私も相良くんも無意識に堪能していた。   ちょくちょく冗談を挟まれたり、教えろとせがまれたり、ちょっかいを出されたりもしたけれど、私にとっては初めての楽しい勉強会だった。  
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

330人が本棚に入れています
本棚に追加