8-2

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8-2

旧音楽室に、今日はラヴェルのソナチネが響く。 この前相良くんと一緒に弾いて、こんなに素敵な曲だっただろうかと思えた曲だ。 以前断念してそのままだったその曲を、再度ひとりで弾けるように練習することにした。 コンクールはしばらくないし、来年は受験生になる。 だから、今のうちに、自分の好きな曲を好きなように弾けるようになりたい。   寒さもあってか、指がかじかんでいて思うような音が出せず、一回弾き終えた私は、指を手で包んで温かい息を吹きかけた後で、再度弾いてみた。   目を閉じて、音の伸びやかさを感じてみる。 私が鍵盤を押すことでハンマーが弦を打ち、ピアノ自体に音を振動させて伝えれば、自分もまるで楽器になったみたいに反響して、体が自然と動いた。 こんな、指と鍵盤との境界線があやふやになるような感覚は久しぶりだ。
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