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2月15日 日曜日 昼下がり(2)
どんな演奏をしたのか、数分前のことだが、もはや記憶にない。
急いで楽器を片付けると、ぼくは今から何をすればいいのか、わからなくなった。
発表までの時間をどう過ごしていいのかわからなかった。
座席に座って、他のアンサンブルの演奏を聴いても、すぐに席を立ってしまった。
ロビーのベンチに座っても、いてもたってもいられず、ホールの外に出てしまった。
もし発表に間に合わなかったら、代わりに頼むよ、とエイミに伝えた。
結局、ぼくは逃げ出すことにした。
ぼくは昼下がりの日が差し込む電車に揺られている。
海が見たかった。何の悩みもなかったような子どもの頃、ユイ姉さんとぼくたちの家族4人で行った、二色浜を目指した。
難波で南海線に乗り換え、各駅停車でゆっくりと進んだ。
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