0人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんか、無情やな」
「そうやね。いろんなことあったね」
話し終えると、気持ちが少し軽くなった。
凝り固まった何かが落ちた気がした。
「ねえ、ハヤト」
「なに」
「昨日、なんでも相談してって言うたよね」
「おう、言うたね。今はぼくが相談してるけど」
「相談してもええ?」
「ぼくでええの?」
「ええの」
「じゃあ、はい。どうぞ、フミオさん」
「目の前に好きな人がいます。どうしたらいいですか」
波打ち際の貝殻のように、ぼくには、為す術がなかった。
いろんな人のいろんな愛に揉まれ、ぼくは生きている。
おわり
最初のコメントを投稿しよう!