本になりたかったおじさんのはなし

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手が届くところオカルト辞典があった、あいうえお順にUFO、ネス湖の怪獣、幽霊、アトランティス大陸のオカルトネタが紹介されている。 その辞典をなんとか取り出すと、適当に開いたページのオカルトネタを子供時代の僕に読み聞かせ始めた。 ただ、ページを見に書かれた文字を読むのでは無くて、他の本から仕入れたネタも織り交ぜながら読み聞かせ続けた。 しばらくじっと僕の話を聞いていた子供時代の僕は、店内の書棚から大人向けのUFO本を持ってきた、文字ばかりで絵が少ない本だった。 幸いこの分野の予備知識があったので、この本の要点と言うか子供が喜びそうな部分だけをかいつまんで話してあげた。 すると、今度はアトランティスやオーパーツの超古代文明の本を持ってきて僕の目の前に置いた。 そうして何冊かのオカルト本を子供時代の僕に読み聞かせてあげた。 子供時代の僕はとっくに泣き止み、僕を見上げてニコッと笑った。 夢中で読み聞かせている僕もとても楽しく充実した気持ちになっていた。 子供時代の僕は、もう一度僕を見上げてニコッと笑った。     
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