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そうしたら、子供時代の僕の解像度が悪くなり姿がガサガサになった、それから、色が抜けて白黒状態になって、やがて薄暗い店内の背景の中に消えていった。
もっと、話してあげたいことが沢山あったのに
僕が本になっちゃう前に教えてあげたオカルトネタがいっぱい残ってるのに、
僕が本になるのは少し待ってもらおうと思った、コンシェルジュに悪いことをしたと思った。
コンシェルジュはバックトゥザフューチャーで探していたシーンの確認を終えて、VHSテープを巻き戻していた。
コンシェルジュはビデオデッキから取り出したビデオテープをケースに収め振り返った。
コンシェルジュは僕の気持ちが分かっているのか、
「子供に泣かれちゃしょうがありませんね」
「でも、まさか時空を超えて引き止めに来るなんて驚きですよ」
苦笑はしていたものの怒ってはいなかった。
良かったと思った。
「あの、子供時代の僕に話してあげたいことが、まだ沢山残っているんです、このお店に来たらまた会えますか?」
コンシェルジュはゆっくりと首を振った、
「時空を超えるには、相当な思いと言うか精神エネルギーが必要です、とりあえず、あなたが本にならないことに安心したあの子は心の落ち着きを取り戻した。もうあの子に時空を超える力は残っていません」
僕は少し悲しい気分になった。
自分の大好きな事を他人に話すのって楽しいと思った。
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