本になりたかったおじさんのはなし

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安アパートへの帰り道、 数年に潰れた雑貨屋が古本屋に改装されていた。 子供の頃、運動や友達と外で遊ぶことはからきしダメだったけど、 本だけは好きで沢山読んだ、 だけど、読書感想文をかけるような本では無い、 幽霊、妖怪、UFO、ネス湖の怪獣といったオカルトやミステリー物ばかり読んでいた。 大昔、子供の頃に読んだ本があるかもしれない、 もし、見つかれば懐かしいだろうな、 そんな思いで古本屋の入り口をくぐった。 中は古びた木造り、天井には剥き出しの蛍光、 何十年もの間、湿気を吸い続けた紙の独特の匂い、 耳触りなBGMは無く、軋む床の音だけが響きわたる。 「児童書が得意の古本屋か」 思わず、独り言が漏れた。 小学館なぜなに図鑑、 学研のジュニアチャンピョンコース、 ケイブンシャのポケットサイズのミステリー、 子供のころ、夢中で読んでいたオカルト本が書棚に並んでいた。 手の込んだ挿絵、簡素な言葉、ふりがな付きの説明、 でも、ちょっと如何わしさもある、 僕は貪るように当時の本を読んだ、
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