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築40年の木造モルタルのボロアパートに戻った。
思いのほか居心地の良い場所が見つかって、珍しく良い気分なのだが、
身体がなぜか重かった。
玄関で脚がもつれて思い切り転んでしまった。
次の日、
ブラック企業、実現不可能な営業目標、
怒鳴れ、罵られるだけの日だった。
また、あの古本屋に行こう、
2日続けての立ち読みは嫌な顔されるかな?
でも、今日の上司のイジメは酷すぎる、
帰りにあの古本屋に寄ろう、
そうしたら、嫌な気分が少しは和らぐと思った、
コンシェルジュは嫌な顔をせず、
満面の笑みで迎えてくれた、
どれくらい立ち読みをしてたろう、
商店街、遅くまで営業しているはずのスナックやバーの灯りも落ちていた。
「ごめんなさい、今日も買って帰りたい一冊が見つかりませんでした」
「良いんですよ、何度でもお越しになってお客様が是非ともお手元に置いておきたい一冊を見つけて下さい」
ボロアパートに戻った、身体は相変わらず重かった、
そして、喉の奥、扁桃腺が腫れ出した。
それから、毎日のように、あの古本屋にいりびたった。
相変わらず会社では怒鳴れ続けた。
私生活では恋人や友人はおらず、今、生きてるこの世界は冷たいコンクリートの牢獄だった。
ただ、あの古本屋の中だけは、僕は子供の頃に戻れる、
オカルトや超常現象の本にときめいてた時のように、
まだ、未来と将来に希望が持てたころのように、
だけど、あの古本屋に通えば通うほど、僕の体調は悪くなっていった。
体調不良で職場で仕事にならなかった、
私生活で身なりや部屋の掃除に構わなくなり、
生活はどんどん荒んできた、
だけど、そんなことは構わない、
僕にとって、この世の中は辛くて悲しいことだけだった、
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