本になりたかったおじさんのはなし

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「週に一二度ぐらいのご訪問ぐらいでしたら〝今日はちょっと疲れたかな〝で済むのですが、お客様のように日を開けずにいらっしゃって、長い時間のご滞在だと、確実にご健康を損ねてしまいます。」 「ですのでご家族やお友達、どなたか心配してくれる方がいらっしゃるお客様は、無理にでもお引き取り願ってます」 「でも、中には、お客様のように、思い出の中にしか居場所が無い方もいらっしゃいます」 「そのような方は、純粋で優しく、抱えきれないほどの悲しさ辛さを抱えている方が殆どです。そのような方を現世に追い返すような可哀想なことは私どもにはできません」 「ところで、お客様、お探しの本はみつかりましたか?」 突然、何を言いだすんだろう、病気となぞの本屋から話しが飛躍しすぎ… 「えっ???」 「お探しの本は見つからないかと思います、お客様がお探しの本は当店にはございません。なぜなら、お探しの本はお客様の心の中にございます。お探しの本はお客様自身でございます。」 「あの?、もともと頭が悪い上に、発熱で弱ってる僕の脳みそでは理解できないのですが」 熱弁がまったく伝わらなかったコンシェルジュ、 嫌な顔をするかと思ったらそうでもなかった。 「それでは要点のみを説明させていただきます。お客様、本に生まれ変わって、私どもの古本屋の書棚で穏やかにお暮らしになられませんか」 「えっ??????」
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