ある少年の憂鬱

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 僕が暗殺者なんていう汚れ仕事をしているのは、結局のところ拾われた人が師匠だったからという事に起因する。 とは言え師匠のことをありがたがったことはあれ、恨んだことは一度もない。 路頭で死にかかっていた子供を引き取って、食っていけるまでに育ててくれたのは師匠だ。  気まぐれだったのか何なのか。 聞いてみたことは無いから分からない。 けれど、一つだけ分かっていることがある。 師匠は僕を、自分を殺し得る存在になるだろうと考えていながら育てていたんじゃないかと思う。 ターゲットが師匠だと聞かされた時、僕は驚かなかった。 いずれこうなり得るんじゃないかとは考えていた。 未だにこの仕事をしているんだから、師匠に手をかけうる可能性はあるだろうと思っていた。 師匠に刃を突き立てる。 でも、僕は後悔はしていないし、やると決まったからには、やることは一つだけ。 「最短距離で……!」
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