夢に囚われる

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夢から現実に出てきた自分が、そのまま昨日までの自分を引き継いで生活をしていくなら、夢に囚われた本当の自分はどこへいくのか。 「ずっと、夢の中じゃない? じゃなきゃ……消滅しちゃうとか」 あたしの零した疑問にサラリと答える友子の声音は、どこか面白がるような響きがあった。 「それは嫌だなぁ。あたしはちゃんと本物のあたしでいたい」 「わかんないよ。既にもう、麻子(あさこ)も夢の自分と入れ代わってるのかもしれないし。わたしもどうかな。実はちょうど先週、自分に追いかけられる夢見たんだよね。夢の中のわたし、すごい必死になって走ってきてさ、滅茶苦茶怖かった。……捕まっちゃったとこで目覚めたんだけど」 わたしも、入れ代わってたりしてね。 最後にそう言って乗り出していた身を引く友子を、あたしは思わずジッと見つめてしまう。 「…………」 「あくまで、ただの都市伝説だよ。お姉ちゃんもホントかどうかなんてわかんないって言ってたし」
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