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「そのときに、自分に追いかけられる夢を見たときは注意しなくちゃいけないんだって」
「自分に? そんなの、どう注意するの?」
「捕まらないようにだよ。もし、夢の中の自分に捕まったら、入れ代わられちゃうんだってさ」
「入れ代わる?」
「そう。つまり、本当の自分は夢の中に閉じ込められて、二度と出てこられなくなるの。でもね、この話の一番嫌な所はここからでさ……」
そこまで言って、友子は一度もったいぶるように言葉を切りニヤリと笑った。
「入れ代わった相手も、自分でしょ? だから結局は気づけないんだってさ」
「は?」
「夢の自分と現実の自分。両方自分。だから入れ代わっても、夢の自分はそのことに自覚がもてないんだって。本人はもちろん、周りにいる家族や友人も気づけない。本当に当事者を含めた誰一人、何も気づくことがないまま存在だけが変わってる。何だか、リアルに想像すると怖くない、これ?」
「……確かに、良い気分ではないね。でもそれなら、夢に残された自分はどうなっちゃうんだろうね」
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