1/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

人間とは「嫉妬」をする生き物である。 誰の言葉なのかは知らないが、言い得て妙だと思う。 現に私は絶賛嫉妬中だった。 事を思い返せば、始まりは街中を歩く彼に一目惚れした三か月前にさかのぼる。 どの辺りに惹かれたのかを言葉で表すのは難しいが、それはもうビビッと来たからとしか言いようがない。 昂る感情のままにその場ですぐに「付き合ってください!」とストレートに告げた。 --結果は見事に玉砕だった。 突然の出来事に戸惑った彼に深々とごめんなさいされて終了。 とはいえ私の中に燃えたぎった恋心がそれで消えるわけもなく、むしろ火種は強くなる。 放課後に彼の通う学校の前で待ち伏せ、時には登校時にも待ち伏せて告白の繰り返し。 一歩間違えればどころか、もはや完全なストーカーである。 それでも不器用な性格なので、こういう方法しかできなかったのだから仕方ない。 それに結果として熱意は伝わったのだからいいではないか。 告白が10回目を数えた辺りでようやく、彼の方も私が真剣だという事に気づいてくれたらしい。 からかったりしているわけでなく、本気で自分の事が好きだと。     
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!