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「正直な話、その通りです。私には四歳になる息子がいたのですが、約一年前……去年の十月に肺炎を患い死んでしまいまして」
当時のことを思い出しているのだろう、細川さんの口元がほんの僅かだけ苦しそうに歪むのをあたしは見ていた。
「もともと身体が弱く、生まれつき声が出せないという障害を抱えていたものですから、外で遊ばせるのも気が引けて、大抵は家の中だけで面倒を見ていたんです。情けない話ですが、私自身収入の良い仕事に就けているわけでもないため、普段から欲しい物も満足に買ってあげることもできなくて――」
まるで、教会の告解室で懺悔でもしているかのように重く淡々とした口調で言葉を吐き出し続ける細川さんへ、
「ちょい待て」
ズボンのポケットへ突っ込んでいた手を出し、それを突きつけるように前へ伸ばしながら純一さんがストップをかけた。
「その死んだ息子は、全く声の出せない身体だったのか?」
「はい。手術をすれば、改善はできるかもしれないと医師に言われたことはありましたけれど、確実に治せる保証もなく、高額な費用を払っていく余裕もありませんでしたので、息子には申し訳ないと思いながら、ずっとそのままでいました」
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