追憶の旋律

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「依頼の相談みてぇだな。……それほど手間のかかりそうな内容でもなさそうだし、ひとまず話聞いてみるか」 そう言って返信を打ち始める純一さんへスイッと顔を並べるように近づけ、あたしも画面を覗き込む。 「どんな内容なんですか?」 「まだ詳しくはわかんねーけど、息子の霊を鎮めてほしいみてぇなこと書いてあるな」 「息子の霊? ……何でしょうね、自分の子供の霊を除霊してほしいって普通じゃない感じします。水子霊が祟るとか聞いた記憶ありますけど、そういう関連依頼でしょうか?」 あたしの勝手なイメージだけれど、水商売みたいな仕事をしている人が不本意に妊娠して中絶を繰り返したりして、それで呪われたとか。 生前、そんな内容のテレビドラマを観た記憶がぼんやりとある。 「ま、そういうこともないとは言い切れねぇな。実際、水子の霊に取り憑かれて殺される母親は存在する。そうなっちまった理由の大半は自業自得なんだけどよ」
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