追懐が運ぶ救済

20/56
55人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
「私のせいで暗い気持ちにさせちゃったかしら。ごめんなさいね、お嬢ちゃんが気にすることじゃないのに」 黙り込むあたしの顔を申し訳なさそうに覗き込み、おばあちゃんは切なそうに笑う。 「……いえ、大丈夫です。ごめんなさい、おばあちゃん。あたしもう戻らないといけないんです。色々お話してくれてありがとうございました」 思い立ったら善は急げ。あたしはどうにかおばあちゃんの悩みを解決してあげようと胸の中で決心し、慌ただしく頭を下げる。 「え? ああ……そう。こちらこそ、話し相手になってもらえて嬉しかったわ。何だか少し楽になった気分。ありがとうね」 そんなあたしを一瞬だけキョトンとなりながら見つめたおばあちゃんは、またすぐににっこりと笑い会釈を返してきてくれた。 「はい、それじゃあ、また」 あたしも同じように笑顔を返して頷くと、くるりと踵を返して元来た道を引き返していく。
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!