3人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「・・・ま~たハズレやってんけど!」
難波駅から徒歩3分。
今日も超満員のスタバで、私は美咲(ミサキ)に愚痴っていた。
「また~?愛(アイ)、今回で何人目よ」
少し呆れた声で、美咲は言った。
「28人目・・・」
「28!?先週より5人増えてるやん!」
呆れを通り越して、美咲が失笑しながら言った。
長野 愛、24歳。
大学卒業後、大手保険会社の事務員をやっている。
仕事は、退職者が増えると言われている、魔の3年目に突入。
例にもれず、辞めたい期、まっただ中。
「だって~・・・いい人おらんねんもん・・・」
私は溶けかけているスムージーを飲みながら美咲に抗議した。
「愛は理想高すぎなんやって。婚活アプリで30人近く会っといて、1人もいい人おらんかったん?」
「おるにはおったんやけど・・・。こっちがいいなと思った人は、突然連絡とれんくなるか、何かの勧誘か、ヤリ目パターンがほとんどやってん」
「あ~・・・。けど、マトモな人もおったやろ?」
「おったけど、タイプじゃない・・・」
「だから、それが理想高いんやって!」
美咲がちょっと声を荒だてた。
「身長180センチ以上、年収1000万以上、年齢は24~29歳、長男じゃない、大阪在住、転勤のない仕事、浮気しなくて誠実、でも童貞じゃない男」
美咲が、私が前にあげた付き合いたい男の条件を羅列していった。
「そんな高物件男が、この年齢でそもそも残ってるかっつーの。残ってたとしても、わざわざ高いお金払って婚活アプリなんかやらへんって」
・・・ごもっとも。
私の使っている婚活アプリは、女性無料だが、男性は有料。月3000円かかるシステムになっている。
私の条件をすべて満たす高物件男が、わざわざ登録しているとは思えない。
最初のコメントを投稿しよう!