南海世繋ぎ線 あの世行き

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「・・・ま~たハズレやってんけど!」 難波駅から徒歩3分。 今日も超満員のスタバで、私は美咲(ミサキ)に愚痴っていた。 「また~?愛(アイ)、今回で何人目よ」 少し呆れた声で、美咲は言った。 「28人目・・・」 「28!?先週より5人増えてるやん!」 呆れを通り越して、美咲が失笑しながら言った。 長野 愛、24歳。 大学卒業後、大手保険会社の事務員をやっている。 仕事は、退職者が増えると言われている、魔の3年目に突入。 例にもれず、辞めたい期、まっただ中。 「だって~・・・いい人おらんねんもん・・・」 私は溶けかけているスムージーを飲みながら美咲に抗議した。 「愛は理想高すぎなんやって。婚活アプリで30人近く会っといて、1人もいい人おらんかったん?」 「おるにはおったんやけど・・・。こっちがいいなと思った人は、突然連絡とれんくなるか、何かの勧誘か、ヤリ目パターンがほとんどやってん」 「あ~・・・。けど、マトモな人もおったやろ?」 「おったけど、タイプじゃない・・・」 「だから、それが理想高いんやって!」 美咲がちょっと声を荒だてた。 「身長180センチ以上、年収1000万以上、年齢は24~29歳、長男じゃない、大阪在住、転勤のない仕事、浮気しなくて誠実、でも童貞じゃない男」 美咲が、私が前にあげた付き合いたい男の条件を羅列していった。 「そんな高物件男が、この年齢でそもそも残ってるかっつーの。残ってたとしても、わざわざ高いお金払って婚活アプリなんかやらへんって」 ・・・ごもっとも。 私の使っている婚活アプリは、女性無料だが、男性は有料。月3000円かかるシステムになっている。 私の条件をすべて満たす高物件男が、わざわざ登録しているとは思えない。
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