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今更だけど私が領主として統治するこの街はおかしいことだらけだ。私が一生懸命この街の発展のために様々な政策を打ち出しているというのに、みんな懐疑的な視線を向けるのだから。
雇用を生み出し軍備も強化できる政策を発案した時なんか家臣達から様々な声が挙がった。もちろん反対意見ばかりあった訳ではないのだけれど、それでも場の空気は否定的なものだった。農夫達に戦い方を教えれば絶対に反乱が起こるだなんて誇大妄想も大概にして欲しい。この街の周辺には肥沃な大地が広がっているのだから、そこで農耕させればいいのだ。モンスターだってちょっとは遭遇することはあるけれど、戦えばそれだけ戦闘経験が積めるし食料にもなる。一挙両得になるこの政策はなんとしても実現させなければならなかった。なぜならこの街は弱小貴族が集まって出来た連合なのだから。
王侯貴族達が本気で私達を潰そうと思えば造作もなく私達を潰せるだろう。だから私達は力を付けなければならなかったのだ。しかし実の父ですら私の考えを過激で好戦的な思考として嫌った。女である私には政治に関わって欲しくなかったのだ。私がその時わずか九才だったというのもあるのかもしれない。しかし私はそんな事で止まるわけにはいかなかったのである。
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