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後悔はしたくない
私は間違っていたのだろうか?
そんな問いがこの二年間、絶えず頭の片隅に存在していた。
「アレックス、また眉間に皺が寄ってますよ」
どうやら顔に出てしまっていたらしい。せっかくのお茶の時間だというのにこれでは落ち着けないのだろう。私の忠臣であり友達でもあるファラが、クッキーを選びながらもそんな言葉を投げ掛けてくる。彼女は私より三つも歳が離れているというのに、甘いお菓子を食べる時だけは無邪気さが顔を覗かせて、凛とした雰囲気がどこかへ行ってしまうのだ。他の人が彼女を見てもそんな事は感じられないらしいのだけれど……何年も付き合いのある私だから分かるのだろう。今だってリスみたいにクッキーを食べている。これがコルツフット家の長にして若き女傑ファルファラと恐れられているのだから何だかおかしくなってつい笑みがこぼれてしまう。
「やっと笑いましたね、アレックス」
「貴女のクッキーを食べる姿が可愛らしいからよ」
「私が可愛らしい? ご冗談を」
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