こじらせてる彼女と渡様。

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(…ムカつく!) 「みくり、眉間にシワ。」 矢田部に指摘されて気持ちを心の奥底に隠す。平和主義、生徒たちの癒しとして私は常に穏やかでいると決めているのだ。 なのに、輪の中心にいるのは決まって渡様。 (く~っ!私だって!中学では一番だったんだから!) とは言え、そんな風に過去の栄光に縋っても意味は無い。現実(いま)は今でしかないのだ。 そしてあっという間に放課後はやって来て、予算会議も終えて解散した。 私は椅子やら机の片付けをしている。敵視している渡様はと言うと…何故か椅子に腰をかけて読書をされている。 (何だ?嫌味か?嫌味なのか!?) 「渡くん。片付けは私がしておくから、帰っていいんだよ?」 「否、待ってる。」 (待ってる?) 待ってるとは何か。一緒に帰ろうと遠回しに誘われたのか?首を傾げつつ椅子を片していく。待っているくらいなら手伝ってくれてもいいのに… (嫌な奴!!) 「なあ、佐倉。」 「何?」 すると突然、渡様は本を閉じて私の前まで歩み寄ってきた。
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