2 十日目

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「ほほ。マリアンは姉さまの猫ジュエルがうらやましくてたまらないのね。  でも、それは猫さんではなくて犬ですよ」  幼女はぶんぶんと頭をふる。 「ねこしゃ!」 「良いわ。少し遊んでいらっしゃい」 「んっ!」  良くない!こいつ、連れてって!くるしい!  お付きらしい女と少年を残して、皆行ってしまった。  幼女は俺を仰向けに抱いたまま、どん、と藁の山に座り込む。  振動がもろに腹に来た。 『げふっ!』  仰向けはやめてくれっ!苦しいぞ!  助けろ、母!  だが害意がないと見た母は、俺がぐりぐり撫でまわされても知らん顔。  お付きの女の方が次第にイライラしてくる。  こいつ、動物嫌いかよ。  幼女は肉球を触りまくってご機嫌だ。 「♪ぷにぷにー♪」  そりゃ生まれたてだから柔らかいさ。  ピンクに紫の斑の入った肉球がよほどお気に召したか、ふくふくのほっぺに当てて、にこにこ。  ほっぺで確かめた後、小さな唇に当てる。  うん、そっちもとっても柔らか。  お付きの女がぴきっとキレた。 「姫!汚のうございます!」  俺をつまみ上げて床に下ろし、幼女を立たせる。  ドレスに藁くずがついたのも気に入らないようだ。 「さっ、まいりましょう」  邪険にひっぱった。  幼女の顔が歪む。  大きく口が開く。  女官がびくりと怯んだ。     
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