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「ほほ。マリアンは姉さまの猫ジュエルがうらやましくてたまらないのね。
でも、それは猫さんではなくて犬ですよ」
幼女はぶんぶんと頭をふる。
「ねこしゃ!」
「良いわ。少し遊んでいらっしゃい」
「んっ!」
良くない!こいつ、連れてって!くるしい!
お付きらしい女と少年を残して、皆行ってしまった。
幼女は俺を仰向けに抱いたまま、どん、と藁の山に座り込む。
振動がもろに腹に来た。
『げふっ!』
仰向けはやめてくれっ!苦しいぞ!
助けろ、母!
だが害意がないと見た母は、俺がぐりぐり撫でまわされても知らん顔。
お付きの女の方が次第にイライラしてくる。
こいつ、動物嫌いかよ。
幼女は肉球を触りまくってご機嫌だ。
「♪ぷにぷにー♪」
そりゃ生まれたてだから柔らかいさ。
ピンクに紫の斑の入った肉球がよほどお気に召したか、ふくふくのほっぺに当てて、にこにこ。
ほっぺで確かめた後、小さな唇に当てる。
うん、そっちもとっても柔らか。
お付きの女がぴきっとキレた。
「姫!汚のうございます!」
俺をつまみ上げて床に下ろし、幼女を立たせる。
ドレスに藁くずがついたのも気に入らないようだ。
「さっ、まいりましょう」
邪険にひっぱった。
幼女の顔が歪む。
大きく口が開く。
女官がびくりと怯んだ。
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