リトライ

12/135
前へ
/158ページ
次へ
「田山は、何?」 「あ、俺、サッカー部だったから、必然的にバレー」 「そっか、部の人間は出れないもんね」 「ああ。でも、俺、足は得意だけど、手は苦手」 「あははは!」 私は、そのなんとも言えない理由に、ついふたりの会話に入って笑ってしまった。 「なんだよ藤倉、笑うな」 「ごめんごめん」 「田山、茜ちゃんと応援に行くからがんばってね」 「おう、小林ありがとな」 田山は、クラスのムードメイカーのような存在。 いつも、いい具合に肩の力が抜けていて、話しやすく、誰にでも垣根なく付き合う男子だ。 絵里ちゃんも、明るくて、白黒はっきりしていて、誰とでも仲良くできる子だ。 その上、異性相手に『応援に行く』なんて、そんな自然に言っちゃえる絵里ちゃんが、女として羨ましくて仕方がない。 そして私は、そんな二人を横目に、さりげなく全員の名前の書かれた黒板を見る。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

997人が本棚に入れています
本棚に追加