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「田山は、何?」
「あ、俺、サッカー部だったから、必然的にバレー」
「そっか、部の人間は出れないもんね」
「ああ。でも、俺、足は得意だけど、手は苦手」
「あははは!」
私は、そのなんとも言えない理由に、ついふたりの会話に入って笑ってしまった。
「なんだよ藤倉、笑うな」
「ごめんごめん」
「田山、茜ちゃんと応援に行くからがんばってね」
「おう、小林ありがとな」
田山は、クラスのムードメイカーのような存在。
いつも、いい具合に肩の力が抜けていて、話しやすく、誰にでも垣根なく付き合う男子だ。
絵里ちゃんも、明るくて、白黒はっきりしていて、誰とでも仲良くできる子だ。
その上、異性相手に『応援に行く』なんて、そんな自然に言っちゃえる絵里ちゃんが、女として羨ましくて仕方がない。
そして私は、そんな二人を横目に、さりげなく全員の名前の書かれた黒板を見る。
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