リトライ

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サッカーの所に『桐谷(きりや)』の文字を見つけた。 綺麗に消されていない黒板に、乱雑に書かれた名前。 深緑に浮かび上がる白い文字。 桐谷君…… これが、第三の理由かもしれない。 三年間同じクラスで、私が、三年間想いを馳せている想い人だ。 とっくにフラれているのだが、この想いだけは誰にも気づかれないように深海の中で眠らせている。 サッカーかぁ…… バレーなら、同じ体育館で、どさくさに紛れて応援できたのに。 体育館から、わざわざグラウンドに出て応援するには、少しばかりハードルが高い。 また今年も、遠くから観戦かな。 地底深くに抑え込んだ想いが、ギュッと疼いた。
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