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そう思ったところで、ハッと気がついた。
慌てて、引き出しから前の二通も取り出して見てみる。
誰が見ても、誰が読んでも、誰宛のものかわからないし、誰が書いたものかもわからない手紙になっていた。
「か、賢い……」
思わずそう言った後、言葉を失った。
まあ、もしかしたら、相手は、誰でもいいのかもしれない。
そう思ったら、なんだかどうでもよくなってきた。
誰かわからないけど、時々、手紙が届く。
そんな感じで流してやればいいか。
誰にも言えない思いを抱えている場合もあるし、それを吐き出す相手が、たまたま私だったのか、それとも、他の誰かと間違えているのか?
わからない以上、詮索はやめた。
その後、ほぼ毎日だが、それでも不定期で手紙が入るようになった。
そして、十通目が届いた時に、さらに、頭を悩ませる事になる。
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