リトライ

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『こんにちは。 最近、蒸し暑いね。 キミは、旧道のイチョウの樹の成長を見ていますか? とても大きい樹だよね。 そこに、小さな葉がたくさん生えて来ています。 出来れば、彼女と見たいと思っているのですが 叶わないかもしれません』 「へぇー、イチョウの樹ね。わかるわかる、大きいよね」 イチョウの樹と言われれば、通学路にあるあの樹だ!と、誰もがわかる樹がある。 ふむふむと、頷きながら 「ていうか、彼女いるんじゃん!」 手紙にツッコミを入れていた。 なーんだぁ。 日々、少しずつ、一行ずつ多くなる手紙に、なんとなく親近感を感じていたのに。 彼女の存在のカミングアウトによって、他人の心の中を覗いているような罪悪感を感じてしまった。 それも、文脈からして、彼女は、家の方向が違うか……違う学校か。 これは、もう、返事を書くしかない! 私は、ペンをとった。
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