リトライ

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模試で疲れた挙句に、家で開封する。 『こんにちは。 ありがとう、約束を守ってくれて。 それから、返事もありがとう。 質問に答えるよ。 僕は、相手を間違えてはいません。 キミに、話を聞いてほしくて。 もし、迷惑なら、読まずに捨ててください。 模試、がんばろうね』 「おーーーい!」 ツッコミどころ満載だ! 間違ってないんだ…… 彼女のいる誰かさんの話を聞く。 正確には読むだけど。 それってどうなの? 彼女には言えないの? っていうか、揉め事に巻き込まれるのは、嫌なんですけど。 返事の来ない問答が、繰り返される。 あー、頭くらくらする。 もう仕方ない、諦めよう。そのうち、飽きるだろう。 正直、大学入試を控えた今、それどころじゃない。 私は、自分の部屋の机の前の窓から、レース越しに見える景色をぼんやりと見た。 お隣の屋根に消えるお日さまが、最後の輝きを見せて眩しかった。
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