リトライ

26/135
前へ
/158ページ
次へ
「いいよ」と返したらすぐにスマホが震えて 告白された。 「藤倉さんの事が好きなんだよね。付き合ってもらえないかな?」 私は、古風なのか、簡単に人に対して『好き』という言葉を使うのは、あまり得意ではない。 それに、なぜか、本当に大切な事は、きちんと会って目を見て、自分の言葉で伝えるべきだと思っていた。 LINE告白なんて当たり前の事だから、スマホで声聞けるだけいいんだろうけど、なんだか嫌悪感を感じてしまった。 ただ単に、好意を持っていない相手だったからかもしれない。 「えっと……ごめんなさい。そんな気は無くて」 「誰か、気になるヤツとかいるの?」 「まあ、そんなところかな」 「やっぱり……桐谷?」 山本君は、いきなり核心に触れてきた。 「……」 自分では隠せていると思っていた気持ちを晒されて、絶句してしまった。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

998人が本棚に入れています
本棚に追加