998人が本棚に入れています
本棚に追加
最後の二行に書かれた内容を読み返す。
「そうなの、日直なの!それも、あの桐谷君と!」
手紙を畳みながら、そうひとり呟いていた。
「やっぱり、今日はよろしくね。いや、よろしくお願いしますかな。うわぁーーー」
誰にも言えない想いを、手紙を相手に吐き出す。
部屋で妄想を膨らませ、小さく呟く自分に、恥ずかしさが大波となって押し寄せる。
夜もなかなか寝付けなくて、結局どこかで寝落ちしてしまっていた。
朝、当然起きれず、私にしては珍しく遅刻気味の中、それでも必死に寝癖を直し、どうせ自転車漕げば崩れるのは分かっているけど、いつもより念入りにブローする。
スピードを出して漕いだ分、髪が思いっきり後ろにぶっ飛んでいたが、トイレの鏡で整えて呼吸を落ち着けて教室に入った。
しかしながら、私の夢見がちな理想を遥か右斜め上で越えてきた現実は、一瞬で奈落の底へと突き落とした。
最初のコメントを投稿しよう!