リトライ

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「ちょ、ちょ、ちょ、田山!」 「なんだよ。緊急事態だろ?」 「確かに田山、そうなんだけど。 桐谷君の完璧なプリントだと、写したのバレちゃうじゃん。 それよりも、若干間違い気味で、空欄のある田山のプリントの方が、絶対に説得力あるから、貸して!」 「何だ、その言い草は」 田山が、あぁーん?という表情を浮かべる。 そりゃそうだ。 軽くディスっているように聞こえて当然だ。 言葉のチョイスを間違えた! 私は慌てて続けた。 「田山様、ここで、人選ミスして、バレて追加課題したくないです」 「まあ、確かに、そうだよな。追加課題はキツイな」 田山が、チラリと見ながら、わざとらしくもったいつける。 「田山様、ぜひ田山様のお力を、このダメな藤倉にお貸しください」 私は、ここで機嫌を損ねられては大変と、とにかくゴマをすった。
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