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「藤倉……」
うーーーん、どういう事だろう?
「ふじくらぁーーっ」
やっぱり、イタズラかな?
単語帳を立てて開いてはいるものの、目は、前の椅子の背もたれのパイプをぼんやりと見つめている。
「藤倉茜!(ふじくらあかね)」
「ったく、うるさいなー、大体、人が考え事を……」
さっきから思考の中に入って来る邪魔な声に言い返しながら、その先を見れば、バチッと担任と目が合った。
しまった!朝のホームルーム中だった!
「は、はい!すいません」
すぐに状況を把握した私は、同時に、教室の最後列で勢いよく立ち上がり返事をする。
時を同じくして、跳ね飛ばした椅子が倒れ、ガッタンと、大きな音を立てた。
「おお、これはこれは、朝の点呼にしては、ご丁寧な挨拶だな藤倉。だが、考え事は俺の話が終わってから休み時間にでもしてくれ」
「すいませーん」
クラスから笑い声が漏れる。
ザビエルのヤツ!
ザビエルとは担任のあだ名。後頭部が少しハゲてるので代々続くあだ名だ。
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