リトライ

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「ありがとう」 戻って来た桐谷君に声を掛ける。 その手には、日誌があった。 「どういたしまして」 「ごめんね、重かったでしょう?」 「ザビエルも、容赦ないよな」 「そうだね。あ、私、日誌書きます」 「いいの?」 「うん、力仕事のお返しに」 「今日は、書いてばかりみたいだけど、大丈夫?」 「なはは……」 「珍しいね、藤倉さんが忘れるなんて」 クスリと笑う顔が輝いて見える。 そして、思いがけず気に掛けてくれている事、見ていてくれたことにドキッとした。 「お恥ずかしい限りです」 「じゃあ、お願いするよ」 「うん」 手渡された日誌を受け取る。 余韻に浸る暇はなかったけど、久しぶりなのに、意外にも、軽快に話せたことにホッとした。 とりあえず、必死にプリントを書き写す。 無事に、帰りのホームルームまでには出来上がった。
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