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さらに、久しぶりの会話は、照れくさく、これ以上、続けることが難しい。
口にチョコを放り込むと、私は、そのまま、荷物を詰め続けた。
「じゃあ、お先に」
立ち上がると、桐谷君も同時に立ち上がった。
「よければ、一緒に」
「えっ?」
思いがけない提案に、緊張が襲う。
「藤倉さん何か用事あった?それとも、自習室行く?」
「ううん、今日は疲れたから、帰ろうと思って」
「じゃあ」
「う、うん」
私は首をこくりと下げて頷いた。
桐谷君の後ろについてゆく。
廊下に出ても、そのまま、一歩後ろを歩いていると、桐谷君は振り返り、私が横に並ぶのを待った。
追いついて、一緒に並んで歩く廊下。
会話が無い分、ペタペタ、キュッキュッという足音が、異常に耳に響く。
大した距離じゃないのに、これほどに長く感じられるとは思ってもみなかった。
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