リトライ

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「大丈夫か?藤倉」 「うん、田山ありがとう」 隣の席の田山君が、椅子を起こしてくれる。 そのまま、小さなため息を漏らしつつ席に着くと、今度は前の席の小林絵里が後ろを向いて来た。 「茜、なんかあった?」 「ううん、なんでもないよ」 「ならいいけど……」 心配顔の絵里を安心させるため、手を左右に振りながら笑ってみせた。 とりあえず、平穏に戻ったところで、また、思考に戻る。 約40分前、私には『ある事件』が起きていた。
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