9人が本棚に入れています
本棚に追加
僕とキミ
僕はほっぺたに何かが当たる感触で目を覚ました。
それは控えめに、何度も何度も僕のほっぺたをつつく。
ゆっくりと目を開けると、白い天井が見えた。そのまま下を見るといつもの大好きな飛行機の柄のお布団と、向こうに勉強机が見えた。ここは僕の部屋。
それからゆっくり横を向くと、さっき僕をつついていたものが見えた。
「ねこさん……?」
そこには僕をじっと見下ろす真っ白な猫がいた。黒いクリクリの目に、つやつやの白い毛の猫が枕元にちょこんと座っていた。僕を覗き込むように見て、それから小さく小さく鳴いた。
“ボクはタビト”
「え?」
頭の中で声がした。僕はぱっと猫を見た。こっちを見て、ぺこりと頭を少し下げた。その声がこの猫なんだと、なんとなくそう思った僕は、起き上がって、猫に向かって言った。
「僕はあおき はると、だよ」
“はると……かっこいい名前だね”
僕の手にスリスリして、こっちを見上げる。
「ありがとう!僕、自分の漢字も書けるよ。ママに教わったんだ」
“すごいね”
「はる、は春みたいにあったかい人になるように。と、はどんな人にもちょっとでいいから斗のように救ってあげなさいって意味でつけたんだって」
最初のコメントを投稿しよう!