41人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
クリスに告白をしてから、奏のなかで彼への想いがますます強くなっていった。
彼とキスを交わしたい、傍に居て欲しい、一緒に過ごしたい……あの温かい手で触れて欲しい、力強い逞《たくま》しい胸に顔を埋《うず》めたい。
頬を桜色に染めたがら、くるくると表情を変えていた。
時に、はぁっと深く甘い溜息をついて。
その様子を見ていたエミリアは、第2皇子クリストファーとのお茶の席の後からのカナデの様子を微笑ましげに観ていた。
夏の前の陽射しが強くなってきた最近では、ドレスもパブスリーフの半袖に、陽に焼けないようにと白い肌を覆う白い絹の手袋と日傘をさして中庭を歩いていた。
隣には、皇妃・マリアも居た。
皇宮に滞在し始めた初日に、クリストファーからのお茶の席に会した。
翌日は、アントニウスとマリアとのお茶の席に同席をした。
そこでの振る舞いもとても落ち着いていて、エミリアは「皇宮に相応しい令嬢」という確信を段々と得ていた。
芸術に造詣の深いアントニウスとの会話にも、耳を傾け、知らなかった話題などには興味を持ち話しを深く聴いていた。
本来ならば、皇帝たちへの挨拶が先だったのを、アントニウスが許してくれたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!