淡い思い出

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「へぇー。素敵な話じゃない。それで遥は、その男の子との再会を楽しみにしてるんだ?」 学校帰りのファストフード店で、ドリンクとポテトでお茶しながら友人の朋ちゃんと二人、何気ない話に花を咲かす。 朋ちゃんとは高校に入ってから知り合って、まだ一カ月ちょっとだけど妙に気が合い、最近では放課後時間があればこうして寄り道して話すのが日課となっていた。 それで今日は、たまたま恋愛の話題になって。 然程語るネタもない自分の、唯一と言っていい幼い頃の思い出話をしたのだけど。 「本当のところ…よく、分からないんだ」 「ん?どういう意味?その子に別に会いたくないってこと?」 ポテトに伸ばした手を一瞬止めながら朋ちゃんが首を傾げた。 「ううん、会いたくないって訳じゃないんだけど…。随分と昔のことだし、今更会ってもどうしていいか迷うっていうか…」 アイスティに浮かぶ氷をストローで何気なくつつきながら考えていると、「あー…確かにね」と相槌が返ってくる。 「もう7年?って言ったっけ?…っていうと、9歳…?小学三年生くらいかぁ。流石に色々変わっちゃってるだろうねー。お互いにさ」 「そうだよね…」 そんな約束をしたことさえ、もう忘れているかも知れない。
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