14人が本棚に入れています
本棚に追加
もしも、約束を覚えていたとして。
本当に彼が約束の場所に現れたとしても、今の自分を見てどう思うんだろう。
それを考えると何だか不安で…。
別に、本気で恋愛的な進展を期待している訳じゃない。
既に過去の話であって、もうそんな気持ちは微塵もないかも知れない。
だけど、思い出は綺麗で儚いものだから。
それが壊れてしまうのは嫌だし、もしも今の…現実を否定されてしまったらと思うと怖いのだ。
「でもさ。遥自身は?その子のこと好きだったの?」
「それも、よく分からないんだ」
「分からない?」
「うん。友達としては好きだったよ。遊ぶのも楽しかったし。でも恋愛感情があったかって言われるとね。『お嫁さんにする』って言われた時は嬉しかったけど、単に花嫁そのものに憧れてただけだったような…」
「あー分かる!やっぱさ、憧れるよね。花嫁姿っ」
「ねっ。朋ちゃんは和装?洋装?どっち派?」
「そりゃー断然、洋装でしょう!」
「だよねっ!私もっ」
「でしょ!やっぱりドレス一度は着たいよねー。純白のやつ」
「ねっ。二度も着ることがあったら、それはそれで困っちゃうけどね」
「あはは。それ、シャレになんないからっ」
二人して笑い合う。
そうして、そのまま話題は別の方向へとズレてしまったのだけれど。
実は、その約束の日は…。
あと一週間後にまで迫っていた。
最初のコメントを投稿しよう!