淡い思い出

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その後、朋ちゃんとは電車が別方向なので駅で別れ、30分程電車に揺られ自宅の最寄駅へと辿り着いた。 この駅は大きくはないのだが周囲が住宅街となっている為、この時間は混雑していて降りる人も多い。 ホームから改札へと向かう人の流れが既に出来ていて、それに逆らうことなく列に沿って歩いていると、不意に前に見知った後ろ姿を見つけた。 (あ…。蒼くんだ…) 未だ真新しい高校の制服を身に纏い、だが慣れた様子で改札を抜けて行く。 (高校の制服姿、初めて見たな…。何処の学校の制服だろう?) それさえも知らないのだけど。 彼の名は、山吹蒼[やまぶきあお]。 彼と自分の関係を言葉にするならば、幼少期からの公園友達…と言ったところだろうか。幼なじみとも言えるのかも知れない。 友達ではあったが、幼稚園・小学校ともに別だった為、実は苗字が『山吹』だと知ったのは、学区が一緒になった中学に入ってからのことだった。 蒼くんは、再会を約束をしているユウくんの友達だった。 幼少時、私は近所に友達がいなくて、いつもひとりぼっちだった。 両親が離婚したばかりで母親側に引き取られた私は、兄妹もいなかった為、いつも寂しい思いをしていた。 仕事で家を空けるようになった母。そんな中、静かな家に一人でいるのが嫌で、いつも近くの公園で日が暮れるまで時間を潰したりしていたのだ。 そんな時だった。ユウくんと蒼くんに出会ったのは…。
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