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「まあ、確かにマスターの言うのも間違ってない。彼は非常にユーモアのある人間でもあるのは確かだ。だが、彼は非常に分別を要求する人でもあるから、今回のような導入は非常に不味かったとしか言えない」
「つまり、話しかける話題を間違えたという認識で間違いないでしょうか?」
「簡単に言えば、そうだね」
「そうですか……」
男の返答に私は項垂れる。
初めてマスター以外で仲良くしたいと思った人間との接触に初っ端から失敗してしまった。
そのショックは決して小さくなかった。
「でもまあそんなに落ち込むなよ。これから挽回するチャンスはいくらでもあるさ。俺も協力するからさ。今回の失敗は君がこの村や地域の事を何一つ知らなかった事がが原因だろう? 知らなかったら知れば良いんだよ。無知は罪って言うけど、知ろうとしない方がよっぽど罪だ。死罪に値するかもね。君は、違うんだろ?」
「違います! 私はもっと、みなさんのことが知りたいんです! でも、今はマスターくらいしか信用できる人がいなくて……だからずっと酒場にいました」
「それを聞いて安心した。俺、ちょうど仕事が一段落してしばらく暇なんだ。村の事が知りたいなら手伝ってやるよ」
「えっ……!」
その言葉に思わずマスターの方を見ると笑顔で大きく頷いていた。
どうやらこの男は私が多少気持ちを預けても大丈夫な人間らしい。
「大丈夫かな?」
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