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凪沙と俺の出会いは六年前。
一目惚れだった。
小学校四年生の夏の終わりに隣に引っ越して来たかわいい子。引っ越しの挨拶に来た女性のスカートの後ろから恥ずかしそうに顔をのぞかせていた。
その笑顔は綿菓子みたいに甘くてふわふわとしていた。もともと色素が薄いのか、 茶色がかった髪に茶色い大きな目をしていた。
「修斗君、始めまして、うちの子と同じ歳なのね。9月からは同じ小学校に通う事になるからよろしくね」
その女性のよろしくねのセリフにあわせて、ぴょこんと頭を下げた。
「佐伯凪沙です」と、にっこりと笑った。
その笑顔を見て鼓動が速くなるのを感じた。
かわいい……まるで砂糖菓子のよう。
ぎゅっと抱きしめたら壊れるだろうなと思った。
その日なぜか速くなった鼓動に不思議な感覚を覚えながら夕食の支度を手伝っていた時に俺は……。
……失恋した。
「お隣の息子さん、可愛らしい子ね」
その祖母のイトさんの言葉に、俺は自分の初恋相手が男の子だという事実を知るった。
えっ?お隣のって……息子さん?女の子じゃなかった。
俺は一日で、初恋と失恋を経験した。
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