3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
第1章:黒い華と残酷な双子
昔昔ある所に、マルリア王国というとても大きな国があった。
そこの王女は、十四という齢年齢の少女だった。
だがそこの王女は、とても嫉妬深く気が強いという。
『お金が足りない……?なら、国民から搾り取りなさい!!』
王女がそう命令する度に国民のお金がなくなってゆく。
マルリアの人々は、作物も育たずに餓死していった。
「王女様!いい加減にしてください!!!」
ある日、一人の騎士が王女の前でそう叫んだ。
『あら?貴方は…私に何を指図するのかしら?』
王女はまるで、氷のような頬笑みを浮かべ騎士に目を向ける。
「一週間ほど前から、国民が次々と餓死していっています!!作物が育たず、お金もなく……
宮殿に住んでいる王女様だから頼めるのです。どうかお金と食料を国民に分けてはくれませんか…?」
王女は顔を伏せた騎士に、あら…。と呟くと、近くにいた男…同じ顔の少年に声をかける。
『怜(レン)。そいつを連れて行ってちょうだい。』
怜 と呼ばれた少年は、はい。と頷くと騎士後ろにすっと回り手に手錠をかけた。
「お前っ、いつの間に……っ?!」
騎士に隙も与えず、王女の家来とともに扉付近の階段…地下牢に向かって歩いていった。
「おい、待て!…王女様!!お話はまだ終わっておりません!!国民たちがっ………」
そこで騎士の言葉は途切れた。
怜が騎士の喉元に短剣を当てたからだ。
「王女…?鈴(リン)様に逆らうな。」
低く唸るような声で騎士の耳元にそう呟くと、騎士を階段下に突き落とした。
「うっっ、わぁぁぁぁぁぁ…………」
ふっ。と怜は不吉な笑を浮かべる。その笑は、鈴ととても良く似ていた。
『よくやったわね、怜。』
「いえ…鈴様が喜ばれるのでしたら。」
怜は鈴の前に跪き、手の甲にそっとキスをする。
『私に逆らうものは、みんな粛清してしまいなさい。』
「鈴様の仰せのままに。」
二人の双子は、お互いの顔を見、笑いあった。
その時のふたりの笑顔は、まるで悪役の笑い顔……とても黒く、綺麗で鮮やかな華のようだった。
最初のコメントを投稿しよう!